カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
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すっかり暗くなってきた午後七時。時計を見るたびに落ち着かない。
商談はもう終わっているはずだ。ベリーヒルズビレッジのテナントからは、帰宅までにそう時間もかからないだろう。
台所でご飯を作りながら彼の帰りを待つ。
たすき掛け姿で出迎えてくれたいつぞやの千里さんと同じシチュエーションだが、今回は違う。昼間、別れ際に放たれたセリフが頭から離れなかった。
朝まで離さない、というのは、つまりキスのその先に進むという意味だろう。千里さんに触れられたのは本名も知らないバーでの夜だけ。あれから、ずいぶん時が経った。
そのとき、玄関の引き戸が開く音がした。素早く反応した私は急いで廊下に顔を出す。
鍵を閉める後ろ姿がこちらを振り返ると、ふたりの視線が交わった。
「お、おかえりなひゃい!」
しまった。噛んだ。
上ずった声が恥ずかしい。意識しているのがバレバレだ。片手にはお玉を持ったままだし、絶対顔が赤いだろう。
すっかり暗くなってきた午後七時。時計を見るたびに落ち着かない。
商談はもう終わっているはずだ。ベリーヒルズビレッジのテナントからは、帰宅までにそう時間もかからないだろう。
台所でご飯を作りながら彼の帰りを待つ。
たすき掛け姿で出迎えてくれたいつぞやの千里さんと同じシチュエーションだが、今回は違う。昼間、別れ際に放たれたセリフが頭から離れなかった。
朝まで離さない、というのは、つまりキスのその先に進むという意味だろう。千里さんに触れられたのは本名も知らないバーでの夜だけ。あれから、ずいぶん時が経った。
そのとき、玄関の引き戸が開く音がした。素早く反応した私は急いで廊下に顔を出す。
鍵を閉める後ろ姿がこちらを振り返ると、ふたりの視線が交わった。
「お、おかえりなひゃい!」
しまった。噛んだ。
上ずった声が恥ずかしい。意識しているのがバレバレだ。片手にはお玉を持ったままだし、絶対顔が赤いだろう。