カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


「俺、今から仕事なのにそういうセリフを言うの?このまま連れて帰りたい」

「だめですよ。お仕事は行かないと」

「自分がどんな顔をして言っているか、わかってる?」


 指摘されて、ドキリとした。

 絶対、はしたない期待に満ちた表情をしているんだろう。

 だって、仕方ないじゃない。やっと想いが通じ合ったのだから。

 ちゃんと言葉で伝えて、好きの感情が一方通行ではないと知って、どうしようもなく浮かれた気持ちになる。

 じわじわとむし暑い夏の空気よりも、欲情が見え隠れする瞳で射抜かれるほうがよっぽど熱かった。

 すると、再び私の手をとって歩き出した彼が小さく呟く。


「帰ったら覚悟しておいて。今夜は朝まで離さない」


 掠れた甘い声は、こちらを向かない彼の表情もたやすく想像できるほどだ。

 初めて告げられた情事をほのめかす誘いに緊張と恥ずかしさでなにも言えなくなってしまった私は、言葉の代わりに彼の手を握り返したのだった。

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