カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 上顧客からのお誘いを受けたのに、茶会二日前になっていきなり欠席してしまったら、いくらトラブルが原因とはいえ、印象が悪いのではないだろうか。

 それに、長年付き合いのある招待客に挨拶をするために私は茶会への参加を決めた。将来のためにも、ここは腹を括るべきだ。


「私はひとりでも大丈夫ですよ。茶会は任せてください」

「大丈夫?無理してない?」

「はい。作法は千里さんのおかげでだいぶ様になりましたし、しっかりご挨拶もできると思います。美澄家からの参加者として、私がふさわしければの話ですけど」

「それは心配ないよ。桃はもう家族の一員なんだから。大旦那も、君が参加してくれるなら喜ぶと思う。ありがとう」


 安心した様子で答えた彼は、翌日から事業の調整に追われて、店に全く顔を出せなくなってしまった。

 茶会の前日も、様々な取り引き先との交渉を分刻みに詰め込んだため、移動時間を短縮するためにビジネスホテルに泊まるほどだ。

 ひとりでの参加は緊張と不安で落ち着かないが、自分で引き受けたのだからなんとか乗り越えるしかない。

 千里さんの顔を少しでも見たかったな。

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