哀恋の先で、泣いて。
夕焼けの雲が西の空から広がって、半天を赤色に染めて、世界中のすべてがリンゴのように染まる。

禍々しいほどの赤い色で空と雲を焦がして、私たちを赤い色で包んで、向こうの水平線へと沈んでいくのだろう。


静かに静かに沈んで終わりを告げていくけれど、朝になればまた向こうの大きな山から顔を出して、始まりを告げる。

その繰り返しだけれど、私たちの日々が繰り返されることはなく、永遠に終わっていく。






「ここでいい?」
「いいよ」


ベンチに腰かけたものの、どこを見たら良いかわからず視線を巡らせた。

すぐに切り出すべきなのか、それともたわいのない話をしてから話すべきなのか、それとも時間が経てば話せなくなるのか、わからない私は虚空を見つめる。
< 5 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop