哀恋の先で、泣いて。
だから、「すきだよ、俺、椿のこと」という言葉には驚いたし、はじめは信じられなかった。

幸せの絶頂と言うのだろうか、有頂天と言うのだろうか、とにかく幸せだった。




すこしだけ照れて、はにかんで、赤い顔を隠すようにうつむく私を麻弥は受け入れてくれたし、大人っぽいのにときに子供になる麻弥を私も受け入れた。

バイトの帰りは一緒に帰って、休日はデートをして、夜は遅くまで通話をして、「すきだよ」って何回も何回も言われて、照れていた。




あたたかいハグをした、想いを通わせるキスをした。



アイスを口元につけて笑っていたところも、隠し撮りをして笑っていたところも、寝起きが悪いところも、寝ぼけた声で私の名前を呼ぶところも、甘えてくるところも、リードしてくれるところも、全部全部大好きだった。
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