旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~
「これといった趣味がなくて……。しいて言えば、一緒にいる人と楽しい時間を過ごすことでしょうか。あっ、こういう話をすると相手は女性だと勘ぐられますが、男性とでもです。まあ、できれば女性のほうがいいのは本音ですが」


 皆に笑顔が戻った。
 一瞬にして気まずい雰囲気が払拭れ、巧みな話術に感心するばかりだ。


「七瀬さん、今度一緒に楽しい時間を過ごしませんか? って、まずいな。公開セクハラだ」


 少しバツの悪そうな顔の相馬さんに、ドカンと笑いが起こる。


「さて、そろそろ仕事の話に入りましょう」


 今まで柔らかい雰囲気を醸し出していた相馬さんが凛(りん)とした声でそう告げると、一瞬にして静寂が訪れた。


「赴任前に、渋谷プロジェクトの概要に関する資料を拝見しました。細かな引き継ぎはまだですので、これから考えが多少変わるかもしれませんが……」


< 32 / 74 >

この作品をシェア

pagetop