旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~


「七瀬さん、少し残っていただけますか?」
「わかりました」


 私が残されたのは、事務的な引き継ぎのためだろう。
 他の人たちは部屋を出ていく。


 厚いファイルを手に立ち上がろうとすると、相馬さんのほうから近づいてきて隣の席に座った。


「さっきはフォローありがとう」
「いえ……」


 物腰柔らかなコミュニケーションから一転、谷底に落とされたような形だったので皆余計に動揺したんだと思う。

 期待と失望を一気に味わったような。


「失礼ですが、相馬さんのおっしゃることはもっともですし、正直言えば痛いところをつかれたという感じです。でも、皆、これまでのやり方を踏襲(とうしゅう)しているだけで手を抜いているわけではありません」

「なるほど」

 他人事のような相槌が癪(しゃく)にさわる。


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