旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~
 最初は珍しさも手伝ってすこぶる客入りがよかったのに、ターゲットを広げすぎたあまり、どの年代の人たちにも心地よくない空間となってしまい、何度か店舗の入れ替えをした。

 でも、一度離れたお客さまは簡単には戻ってこない。
 結局閑古鳥が鳴いている。


「このプロジェクトもそうしたいですか?」

「いえ」

「厳しい指摘をしたのは承知しています。ですが、私はプロジェクトのひとつやふたつ失敗してもいいとは決して思わない」


 彼は将来、この会社を背負う御曹司なのだ。

 私たちのような一般の社員より、責任のある立場で発言しているに違いない。


「申し訳ありませんでした。それなりのもので満足しようとしていました」


 彼の発言が間違っていないからこそ、それをずばり指摘された私たちは反発心が芽生えたのだ。

 自分たちの甘い考えを隠すために。


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