旦那様、離婚はいつにしましょうか~御曹司と清く正しい契約結婚~
 大切な人を親友に寝取られていたのに気づきもせず結婚を信じていたという、自分の未熟さを思い知ったから余計になのかもしれない。


「子供でいいじゃないか」
「えっ?」


 思いがけない言葉の意図がよくわからず、声が漏れる。


「お金を払っているのに、嫌いな酒を無理して飲む必要はない。つらいときは泣いてすっきりすればいい。変に大人ぶってずっと引きずるよりましだ」


 彼は夜景に視線を向けたままマティーニを口に運ぶ。

 まるで私が再び泣きだすのを知っているかのようだった。


 こらえきれなくなった私は、ミモザのグラスを手に持ったまま、静かに涙を流した。


 つい二時間ほど前、久しぶりに隆二さんに誘われたと心を躍らせていたのに。


「吐き出す相手が必要なら、俺がなるぞ?」

「いえっ」

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