HOME〜私と家族〜
レポート2
それから、タクは私が言った通り、学校ではほとんど話しかけに来なくなった。

「島本先輩、最近全然見ないね」
「ちょっとキツめに言ったのが効いたんだと思う」

不思議がる絵梨に、肩をすくめて返事する。
タクが来るたびに、階段の影から過激派な先輩たちは睨むし、クラスはざわざわするしいいことなんてなかったんだから。

「ま、家に帰れば会えるんでしょ。わざわざ学校で話すこともないわよね」
「そうそう。こちとら穏やかな学校生活を望んでるんだから」

絵梨も私も、決して目立つ方ではない。
大人しく席でお弁当を食べて、当たり障りのない会話をクラスメイトと交わすくらいのポジションだ。

「今日も遊んで帰る?」
「ううん、今日はお姉ちゃん大学の飲み会なんだ。だからご飯当番がタクなの。早く帰ってこいって連絡がうるさい」

携帯を見せれば、絵梨は苦笑いして、うなずいた。

「島本先輩って料理できたんだ」
「ね。私がやるって言ったんだけど」

器用そうな気もするし、逆に味音痴だったりして。
ちょっとハラハラドキドキしながら帰宅すると、美味しそうな匂いが。

「沙穂ちゃんやっと帰ってきたー。遅いよ」

先に帰っていたらしいシンが、扉を壊さんばかりの勢いで玄関までお出迎えしてくれる。

「ごめん、急いで支度する」

制服を脱いで部屋着に着替え、リビングへ。

「兄さんのカレーは絶品だよ」
「へえ、あ、サラダもある」

ちゃんと栄養も考えてあるなんて、なかなかやるじゃん。

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