再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~
『奥様、見つかって本当に良かったですね』


私は、心の底からそう思った。


『はい。妻に会えた時は、とても安心しました。そして…もう2度と離したくないって思ったんです』


『素敵です、本当に良かったです。でも…奥様は許して下さったんですか?』


『公園で薔薇を渡しました。そしたら、相当泣かれました。つらくて死にたくなったって。それを聞いた瞬間、本当に俺はなんて馬鹿なことをしてしまったと、激しく後悔しました。こんなにも妻を苦しめたんだって…死ぬほど反省しました。でも、大好きな薔薇を贈ってくれたから…って、何とか許してくれました』


『ほんとですか!!良かったです…嬉しい』


まるで自分のことのように嬉しくて、涙がこぼれる。


『すみません、あなたを泣かせるつもりはなかったんですが。本当に…いろいろお世話になってありがとうございました。これからは、妻だけを大切にして、愛していきます。だから、また…妻の誕生日や記念日に薔薇の花束を買いにきます』


『はい!もちろん、お待ちしています。いつでも来て下さいね。綺麗な薔薇、すぐに用意しますから。本当に…良かったですね。奥様とお幸せに』


『ありがとうございました。あなたには…感謝しかありません』


その男性は、深く頭を下げて、笑顔で店を出ていった。


私は、帰っていくその背中を見送りながら、ホッと安堵のため息をついた。


花がつないだ夫婦の絆…


私も…


大切な人と幸せになりたいって、本気で強く思った。
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