黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 彼女は大袈裟に顔をしかめる。
 するとその言葉を聞いた健太も一緒になって顔をしかめた。

「いおさん。もったいないはだめなんだよ。おばけがでるんだよ」
「そうそう。もったいないはだめなのよね。健太はほんとおりこうね」

 梨花さんはくすくす笑いながら手を伸ばし、俺の腕から健太を受け取る。
 そしてふたりそろって俺を睨んでから、彼女はふっと表情をゆるめた。

「ねぇ、伊尾くん」
「はい」
「あなたがそうやって恋愛や結婚を避けるのは、もしかして大崎のせい?」

 彼女の核心を突く問いかけに、俺は目を伏せる。

 思い出すのは五年前。

 病院のベッドの上に寝かされた大崎さんの遺体に、すがりつく梨花さんの姿。
 その足元で、まだよちよち歩きの健太が、きょとんとした表情で泣き叫ぶ母親を眺めていた。

 その光景は、今でも目に焼き付いたまま忘れられずにいる。

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