黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 自分がもう少し気を付けていれば、彼女は愛する夫を失わずにすんだかもしれない。
 激しい罪悪感と後悔に苛まれた。

 危険と隣り合わせのこの仕事を続ける限り、いつか自分も大崎さんと同じように命を落とすかもしれない。

 そのときに、自分の愛する人にこんな悲しみや苦しみを与えたくない。

 そんな不安を抱えるなら、ひとりで生きいくほうが、ずっと気が楽だ。

 いつしかそう思うようになっていた。

 俺が無言でいると、梨花さんはあきれたように肩を上げた。

「ほんと、伊尾くんは不器用ね」

 そう言って手を伸ばし、俺の頭をなでる。

「大崎は私と健太を残して先に逝ってしまったけど、私は大崎と結婚したことを後悔していないのよ」

 その言葉に、俺は顔を上げる。

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