黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 だとしたら、可能性があるのは窓だけだ。

 私はそう思い、震える足に力を込めて立ち上がる。
 
 この建物はそんなに新しくはないんだろう。
 手が使えるなら簡単に開閉できる、昔ながらのスライド式の窓だった。
 
 私は後ろ手に縛られた紐をゆるめようと、必死に腕を動かす。
 
 自分からは見えないけれど、縛っているのは固いロープのようだ。
 手を動かすたび肌に擦れて痛みを感じる。
 
 ギシギシと音をたてながら必死にほどこうとしたけれど、きつく結ばれたロープはほどけるどころか緩む気配もなかった。
 
 いくらあがいても無駄なのだろうか。
 絶望が込み上げると同時に、痛みもはげしくなる。
 
 何度もロープに強くこすれた手首は皮がむけているのかもしれない。

「伊尾さん……」

 心細くなって、思わず彼の名前を呼んだ。

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