黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 目に浮かぶのは、小さな男の子を抱き上げ綺麗な年上の女性と優しく笑う姿。
 
 彼女は伊尾さんの恋人なんだろうか。
 そう思うと、すれた手首よりもずっと胸が痛くなった。
 
 伊尾さんは今頃、普段通り事務所で仕事をしているだろう。
 まさか私が、呉林くんに監禁されているなんて、思いもしないはずだ。
 
 なんの連絡もせず無断で仕事を休んだ私を、怒っているだろうな。
 
 もし無事にここから逃げられたら、また伊尾さんは私を叱ってくれるかな。
 
 彼の怒鳴り声すら、懐かしく思える。
 
 私はこみあげる涙をこらえるように、歯を食いしばりうつむく。
 すると、視界の端でなにかが光って揺れた。
 
 伊尾さんがくれた、ネックレスだ。
 
 クラブに潜入捜査したときに、彼が私の首につけてくれた。
 
 休日だからいいかなと思い、それをこっそり身に着けていたんだ。
 
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