黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 たったそれだけで、彼がそばにいてくれるような気がして、勇気が湧いてきた。
 
 私の憧れる伊尾さんだったら、どんな絶望的な状況でも、絶対にあきらめたりしない。
 
 そう思い前を向いたとき、窓からこつんと音がした。
 
 おどろいて目を見開くと、そこにはたった今頭の中で思い浮かべていた人がいた。

「伊尾さ……っ!」

 思わず叫びそうになった私を見て、彼は「しっ」と口元に人差し指を当てる。
 慌てて口を閉じると、彼は私を安心させるように柔らかく笑った。
 
 どうしてここに……?
 
 混乱しながら伊尾さんを見つめる。
 
 どうやら伊尾さんは、壁をのぼりここまできたようだ。
 
 なんて危険なことを!と怒鳴りたくなる。
 ここは二階で、しかもその下は斜面だ。もし落ちたら、無事では済まないのに。
 
 伊尾さんは窓枠につかまりながら、目線で私に、窓を開けられるか?と聞いてくる。
 
< 151 / 219 >

この作品をシェア

pagetop