黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 慌ててうなずき窓にかけよった。
 両手は使えないけれど、なんとかして開けないと。
 
 自由に動かせるのは、顔くらいだ。
 顔を窓に近づけ、顎でカギを下ろす。
 
 古いカギは錆びついているのかなかなかスムーズに動いてくれない。
 
 早くしないと、伊尾さんが手を滑らせて落ちてしまうかもしれない。
 
 不安で焦りながら、何度も顔をガラスにぶつけ必死にカギを開けた。
 
 すると伊尾さんが待ち構えていたように窓を開け、窓枠に足をかける。
 
 とん、と小さな音をたて、伊尾さんは部屋の床に降りた。
 
 伊尾さんが落ちなくてよかった。

 ほっとしていると、伊尾さんが立ち上がり乱暴に私の体を抱き寄せた。

「佐原、無事でよかった……」

 ぎゅっときつく抱きしめられ、私は唇を噛む。
 表情や声から、伊尾さんが本当に私を心配していたのが伝わってきた。

「い、伊尾さん、どうしてここが?」

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