黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「伊尾さん。クスリの売人の黒幕は、私の同級生の呉林くんだったんです。彼と、少なくとももうひとりの男が、この建物の中にいます」

 私がそう言うと、伊尾さんは「わかってる」と短くうなずく。

「東海林さんたちも来てる。踏み込むタイミングを間違うと、クスリや証拠を裏の川に捨てられる可能性があるから、今外で待機して状況を確認しているところだ。とりあえず、俺だけお前の無事を確認しにきた」

 伊尾さんは説明してから、私に問いかける。

「どこかケガや痛いところはないか?」
「あ、右足が少し」

 その言葉に、私の足を見下ろす。

 伊尾さんがしゃがみこみ、私の右足首に触れた。
 どきんと心臓が跳ねる。

「ひねったんだな。これだと、歩くのもつらいだろう」
「無理をすれば、歩けないわけじゃ……」

 私が首を横に振ると、伊尾さんはため息をつき「強がるな」と頭を乱暴になでた。

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