黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「とりあえずロープ、ほどくぞ」と言って彼は私の背中側に回り、縛られた手首に手を伸ばす。
 
 すると伊尾さんは、一瞬息を飲み、大きな怒りをなんとかこらえるように舌打ちをした。

「伊尾さん……?」

 なにを怒っているんだろう。
 とまどいながら体をひねり振り向く。
 
 伊尾さんは眉をひそめ私の手を見下ろしていた。

「皮膚がこすれて、血が出てる。痛かっただろう」
「このくらい大丈夫です。なんとかしてロープをほどこうともがいて、自分でつけた傷なので」

 気丈に笑って見せると、伊尾さんは手を伸ばし私を後ろから抱きしめた。

 私の髪に顔をうずめ、たまらないというように息を吐きだす。

 怒りのせいかその腕はかすかにふるえていた。
 それに気づき、心臓が大きく跳ねた。

 伊尾さんは自分を落ち着かせるようにゆっくりと呼吸をすると、腕をほどき冷静な声で言う。

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