黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 いつものように地を這うような低い声で叱られ、私は「ひぇっ」と震え上がる。

「で、でも、だって。こんなときなのに伊尾さんが冗談を言うから……っ」

 この緊迫した状況で、突然ずっと憧れていた伊尾さんに好きだと言われ、私は混乱しすぎてもう涙目だ。

「冗談なんかじゃない」

 伊尾さんがそう言う。
 そのとき、手首を縛るロープが切れ、手が自由になった。

 私が半泣きで振り向くと、伊尾さんが小さく笑う。

「お前を見ていたら、どうしても伝えたくて我慢できなくなった」
「伊尾さん……っ」

 信じられなくて、ますます瞳が潤んでいく。
 そんな私を見て、伊尾さんはあきれたようにため息をつき、私の頭を小突いた。

「泣いてる場合じゃないだろ。さっさとここを出るぞ」
 
 ときめく私に対し、伊尾さんはすでにいつもどおりの厳しい表情をしていた。
 告白の余韻もなく、伊尾さんは立ち上がる。
 
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