黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「後輩がどっかのバカに連れ去られたみたいだから、取り返しに来た」

 対して伊尾さんは余裕の表情だ。
 薄く笑いながら、好戦的な視線を呉林くんに向ける。

「残念だけど、佐原はもう逃がしたよ」

 伊尾さんは背後にある開け放たれた窓をみながら言った。

「なぜここがわかったんですか。この場所を知っているのは、ごく一部の人間だけなのに」
「さぁな」

 そのやりとりを、私は物陰で息をひそめ、はらはらしながら聞いていた。

 呉林くんひとりならまだしも、ほかにふたりも仲間がいる。
 いくら伊尾さんでも、三対一じゃ分が悪すぎる。
 
 すると、「ふさけるな!」という怒鳴り声がした。
 苛立った呉林くんが、ふたりの男に向かって顎をしゃくる。

「とりあえず、そんな生意気な態度を取れないように、痛い目にあわせてあげますよ」

 その言葉を合図に、ふたりの男が伊尾さんにつかみかかった。
 
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