黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
「いいことを教えてやろうか。訓練を受けた警官だって、現場での命中率は二割を切る。その銃の装弾数は六発。一発は窓を打ったから、のこりは五発。それで俺に何発当てられると思う?」
「無駄口を叩いていないで、その銃を床に置いてください。五秒以内に銃を捨てないと撃つ」

 呉林くんは銃口を向けたまま伊尾さんに命令する。

 伊尾さんはため息をつくと、言われた通りショルダーホルスターから銃を抜き取り、床に置いた。

「そのまま足で蹴ってこちらによこしてください。早く!」

 ヒステリックに叫ぶ呉林くんに、伊尾さんは指示通り銃を足で蹴った。

 けれど、不規則な形の銃はくるくると回転しながら、呉林くんの方へではなく部屋のすみにすべっていった。
 
 呉林くんは、銃の行方を一瞥して「まぁいい」とつぶやく。
 
 伊尾さんが銃を手放して、少し安心したらしい。
 いらだっていた表情に余裕が戻った。

< 165 / 219 >

この作品をシェア

pagetop