黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 すると、伊尾さんは体をかがめ私の耳元に唇をよせる。

「……そのかわり、ケガが治ったら覚悟しろよ」

 色っぽい声で囁かれ、心臓がきゅんと跳ねる。
 一気に顔が真っ赤になった私を見て、伊尾さんは意地悪に笑った。




       

 その翌日の月曜から、私はいつものように麻薬取締事務所に出勤し仕事をした。
 
 部長は『あんな目にあったんだし、二、三日休みをとってもいいんだぞ』と言ってくれたけれど、私は『大丈夫です』と断った。
 
 だって、事件の全貌を解明するために、呉林くんの件の報告書を作らないといけない。
 
 呉林くんがクスリを入手していたという香港マフィアの実態をつかまなければ、またちがう人物を通して違法な薬物が市中に流れてしまうだろう。
 
 犯人を逮捕したから一件落着、というわけにはいかないのだ。
 
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