黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 私たちは薬物犯罪をなくすため、そして薬物に手を染める人を減らすため、働き続けなければいけない。
 
 私がそう言うと、部長は『さすが、伊尾さに厳しく鍛えられてるだけあるな』と大きな声で笑った。
 


 ちなみに、伊尾さんと私の関係はというと、残念ながらなにも進展していない。
 
 この一週間、私はケガをしているからと、現場には出ず事務所内での仕事を命じられていた。
 
 けれど伊尾さんは、拘留中の呉林くんたちを取り調べたり、彼らの潜伏先だった雑居ビル、そして経営していたクラブなどに大規模な家宅捜索を行ったりと、ものすごく多忙だったからだ。
 
 同じ職場なのに、まったく顔を見れていない。
 
 こうやって日々の仕事に追われていると、一週間前に彼に好きだと言われたことや、玄関先でのキスが、夢だったんじゃないかと思えてくる。

「伊尾さんに、会いたい……」

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