黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 でも、冷静になって考えて見れば、私は好きだと言われただけで、付き合おうとは言われていない。

 もしかして、私が浮かれて勘違いしているだけで、伊尾さんの好きは異性としてではなく、後輩に向けての好意だったのかも?

 でもでも、あんな激しいキスをしたわけだし……。

 頭の中が混乱して爆発しそうになっていると、「佐原」と声をかけられた。

 顔を上げると、現場から戻ってきた伊尾さんがこちらを見ていた。
 
 伊尾さんはネクタイの結び目に指をかけ首元をゆるめる。
 
 激務続きでさすがの彼も疲れているのか、その疲労が滲むしぐさが色っぽくて、ぶわっと頬が熱くなった。
 
 久しぶりにそばで見る伊尾さんは、やっぱりものすごくかっこいい。

「い、伊尾さん! お疲れ様ですっ!」

 慌てて立ち上がり挨拶をした私を見て、伊尾さんはぷっと噴き出した。

「お前は相変わらず元気だな」

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