黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 じゃあ、伊尾さんは仕事じゃなく、私用で東北厚生局と連絡をとっているのかな。
 
 不安がこみあげてきて、心臓のあたりがきゅっと苦しくなる。

「どうしてそんなことを聞く?」

 不思議そうに聞き返され、私は慌てて首を横に振った。

「えっ、いや、なんとなく……」

 先輩たちの世間話を聞いて、伊尾さんの浮気を疑った。
 なんて言えるわけがない。

 どんどん語尾が小さくなっていく私に、伊尾さんは首をかしげた。
 それから「そうだ」と思い出したように言う。

「佐原。明日は土曜だけど、なにか用事あるか?」
「へっ?」
「休みだろ?」

 伊尾さんの問いかけに、ぶわっと頭に血が上る。

 もしかしてこれは、デートのお誘いですかっ!?

 日曜の夜、伊尾さんは私の家の玄関でキスをしたあと、『ケガが治ったら覚悟しろよ』と色っぽく囁いた。
 
 ついにその、『覚悟』をするときがきたんだ……っ。

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