黙って俺に守られてろ~クールな彼は過剰な庇護欲を隠しきれない~
 目を細めながら私の名前を呼んだのは、大学時代の友人の、菊田静香だった。
 そしてその後ろで頭を下げるのは、彼女の母親だ。

「静香……」

 その名前を口にすると同時に、涙がこみあげてくる。

 静香は四年前、覚せい剤の使用で起訴され、大学を辞めた。
 そして東北の実家に帰り、それから一切連絡を取っていなかった。

 彼女がどうしているのか、いつも気になってはいた。

 だけど、もしかしたら静香は私を恨んでいるかもしれない。
 そう思うと怖くて、連絡できずにいた。

 けれど、今、目の前にいる静香は、私に向かって微笑んでいた。

「久しぶり、美緒」

 混乱と喜びと懐かしさと。
 感情が一気にこみあげてきて、うまく言葉がでてこない。

「どうして……」

 私が手で口を覆ってつぶやくと、静香は私の後ろに立つ伊尾さんに視線を向けた。

「美緒の先輩の伊尾さんが、連絡をくれて」
< 197 / 219 >

この作品をシェア

pagetop