ビビディ バビディ ブー！ 幸せになーれ！〜この愛があなたに届きますように～

従業員出口から私たちは手を繋いだまま外に出ると、迫田さんはじろじろ私を見ながら

「はぁぁ、まぁまぁか。
期待はしてなかったがやっぱお前に演技させるのは無理っぽいな」

としかめっ面でがっくり肩を落とした。

「っ！
しかたないじゃないですか！
初対面の人の恋人のふりをするほうが無理があるんですよ！」

ムッとして反論した私を迫田さんは

「初対面、か…」

ぼそっと呟き切ない瞳がじっと私を見つめ再び私の心臓が忙しなく動き出す。

これ以上この人と関わるべきじゃない…。

頭の中で警告音が鳴り響く。

今ならまだ引き返せる。
私はこの人、迫田大知とは関わるべきじゃない。

この依頼は断るべきだ。
うん、そうだ。
この人女性にもてそうだもん。
１日だけの恋人だって喜んでひきうける女性はたくさんいるはずだよ。