冷酷御曹司と仮初の花嫁
「そんなに卑下しないでもいいと思うけど……。まあ、陽菜さんが一気に磨かれたら、こんな風に話せなくなるから、今のままでいいかな」

「そうそう。分相応なことが大事だと思うのよ」

 碧くんとそんなつまらない話をしていると、麗奈さんは持っていた花束から薔薇の花を一本鋏でチョキンを切ると、さっき、私が作ったサンドイッチのオードブルに挟んだ花を薔薇に変えた。それだけで少しランクが上がるから薔薇の魅力は凄い。オードブルを飾っていた花は花瓶に戻された。

「薔薇を花瓶に生けてくるから、陽菜ちゃん。碧くん。お店をちょっとだけよろしくね」

 そういうと、麗奈さんは店の奥に行き、碧くんはカウンターに入り、豆の焙煎を始めた。私はお客さんが来るまではお皿を並べていつでもサンドイッチを出せるように準備をする。そして、準備が終わった頃に、今日一番のコーヒーを碧くんが淹れてくれた。

「新しく買ってきた豆を焙煎してみた。軽めで女の子好みの予定だけど、どう?もう少し酸味が強い方がいいとかある?ブルマンとモカの配合を変えてみた。それと産地も」

 研究熱心な碧くんは毎週のように新しい豆を仕入れてきては、調合して焙煎している。この碧くんの淹れるコーヒーも人気があり、よく注文される。今回のは美味しいけど、私はいつもの碧くんのブレンドが好きだった。

「これはこれで美味しいけど、私はいつもの碧くんのブレンドが好きかな」

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