ズルくてもいいから抱きしめて。
思いもよらぬ形で慎二と再会してから、2週間ほど経っていた。

あれから自分の気持ちと向き合おうとはしているけれど、どうやって向き合えば良いのかも分からない。

結局、会って話をしない限りどうすることもできないのだろうか。

樹さんとはいつも通り過ごしているけれど、樹さんのことだから私の負担にならないようにあえて話題にしないのだろう。

このまま先延ばしにすればする程、樹さんの気持ちを踏みにじることになる。

慎二ともう一度会って、きちんと話をしないといけない。

そう決意した私は、勇気を出して高木さんに電話をかけた。



高木さんに連絡を入れた後、私はその足で樹さんの部屋の前まで来ていた。

♪〜ピーンポーン〜♪

インターホンを鳴らしてみたが、応答が無い。

あれ?

今日は“打ち合わせ先から直帰”になっていたから、もう帰宅している頃かと思っていたけど、、、

電話を鳴らしたが応答は無く、メッセージアプリも既読にはならない。

珍しいな、、、樹さんはマメな人だから、大抵すぐに折り返しの連絡があるのに。

もう少し待ってみようかな、、、
< 29 / 101 >

この作品をシェア

pagetop