夫婦未満ですが、子作りすることになりました
つまり話を整理すると、このふたりは政略結婚する話になっていたけど、零士さんは私という婚約者がいるのでお断りしたという流れらしい。……同じ話をどこかで聞いたような。
「婚約者なんて嘘でしょう。私を遠ざけるためにわざと用意しただけなんじゃないかしら?」
「まさか。ずっと好きだった相手だ」
嘘ついてる。本当は私とは偶然会っただけなのに。やだ、これまさか明日菜の仮説のとおり、私って婚約者に仕立て上げられただけだったりしないよね……?
不安がこみあげ、心臓が痛くなってくる。
「零士さんのお家は好きという理由だけじゃ簡単に結婚なんてできないでしょう。立場上、大口取引先の令嬢である私より優先される婚約者など許されないはずでは?」
怒鳴る若葉さんの面前で零士さんは黙っている。すると若葉さんはハッとした顔で「まさか」とつぶやき、眉を下げた。