夫婦未満ですが、子作りすることになりました
まさか遺伝子の話まで当たってたなんて。でもそれなら納得。謎が解けてスッキリだ。私が求婚されるなんて、おかしいと思ったよ。
マンションを出て帰路に着く。歩きながら自分のこれからを考えていた。零士さんとどうすればいいのか。
『くだらない男は放っておけばいい。きみに相応しくない』
『賢くておもしろくておまけに美人。最高じゃないか』
ああ。嘘だとわかっても忘れられないな。あんなことを言ってくれる人はいなかったから。初めて誰かに認めてもらえた気がして、本当にうれしくて、彼を信じたかった。
途中でバッグの中のスマホが「ピロン」と鳴り、立ち止まって画面を確認する。
【凛子。明日は大丈夫そう?】
零士さんからだ。部屋に戻って私にメッセージを打っている。
明日は挨拶に行く日。
真実を知ってしまって、真っ先に浮かんだのはこのお付き合いを解消することだった。私自身を好きじゃないのなら結婚はできない、そう思った。でも、それでいいの?