夫婦未満ですが、子作りすることになりました
もしかしたら私の取り柄はほかになにもなくて、私自身を好きになる人なんて一生現れないかもしれない。ただでさえ男性には敬遠されていた遺伝子なのだから、欲してもらえるだけで光栄なのでは。
べつに、遺伝子目当てで求婚されても、いいんじゃないかな。
【緊張していますが、がんばります】
メッセージを返した。今日聞いたことは黙っていよう。だってなにも変わらないもの。私を必要としてくれている人と結婚できる、それには違いない。
【凛子なら大丈夫。そのままでいいから】
〝そのままでいい〟
遺伝子さえあれば。すべてはそういう意味だった。
今まで無理だと思っていた結婚が私にも目前に迫っている。零士さんはまるで恋愛をしているかのような甘い言葉をかけてくれるし、キスもしてくれる。幸せだ。
【好きだよ凛子。また明日】
それなのに、どうして涙が止まらないんだろう。