夫婦未満ですが、子作りすることになりました

「ううん、遺伝子だけでも求められて結婚してくれるっていうなら、もうそれでいいんだ。私を好きになってくれる人が現れるのを待ってたらおばあさんになっちゃう」

『そんなことないよ! 高嶺の花だっただけで、大学にも凛子のこと好きだって人はいたよ。長く一緒にいればちゃんと凛子のよさは伝わるんだから!』

優しい嘘をついてくれている。でもお見合いと婚活ですべての結果が出ていた。私と結婚したいという人はいない。

「ありがとう。でもいいの」

『もし遺伝子が目当てだっていうなら、凛子は甘く考えすぎてる。それって子どもが産まれなきゃお払い箱になるってことだからね? わかってる?』

え? それは頭になかった。余裕のあった表情が歪み、胸をザワザワさせながら明日菜に「どういうこと?」と尋ねる。

『子どもって簡単に産めるわけじゃないんだよ。体質や相性の問題でできないことだってある。そのとき凛子を捨てて別の女性と結婚して子作りされることだってあり得るよ』
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