夫婦未満ですが、子作りすることになりました
「……まあ、いい。無事でよかった。なるほどな、こうやって言い寄ってくる男を跳ね返してきたわけか」
「零士さん?」
「おいで。車は向こうだ」
肩を抱かれて歩きだした。婚約者としてのエスコートはずいぶんと甘く、慣れない私はフワフワと落ち着かない。なんだか爽やかないい匂いがするし、スーツではない姿も素敵だ。
数メートルの場所につり目のヘッドライトが睨みをきかせる白いスポーツカーが停められており、彼は私を助手席に乗せて発進する。
「悪いな。いろいろ家との兼ね合いがあって、すぐに紹介しなきゃならなくて」
ふたりの空間になってすぐ零士さんの話は謝罪から始まった。
「いえ。大丈夫です」
若葉さんとの政略結婚を断るため、だものね。だから急いで私に声をかけたのだろうし。零士さんも大変そうだ。