夫婦未満ですが、子作りすることになりました
車を走らせて二十分、高級住宅街のそばの料亭に入っていく。私でも名前を聞いたことがある高級料亭だ。たしかコースが五万円くらいするとか。きちんと確認しなかったが、さすがにここはおごられていいんだよね?と不安になる。
ご両親はもう中で待っているらしい。艶出しが施された立派な木造で、店内なのに小川が流れところどころ小さな橋が掛けられている。水の音が心地よい。
「こちらでございます」
ついに個室へ案内され、閉められた障子の手前で零士さんのうしろに隠れた。さすがに緊張している。彼は障子を開けた。
「お待たせ」
「零士」
広い畳の個室、テーブルの片側にふたり並んでご両親が座っていた。お父様もお母様もお上品そうな方だ。
ペラペラと自己紹介を考えてきたはずが、彼らを前にすると言葉が出てこず、小さな声で「はじめまして」とつぶやくのが精一杯だった。しかしご両親はにこやかで、零士さんもエスコートしてくれる。