夫婦未満ですが、子作りすることになりました
もう名前はいいとして。イケメンに凝視されながらではやりづらいが、私は相談を続けた。
「でも学歴に関わらず恋愛している女性なんていくらでもいますよね。ですから私にはなにかが欠如しているはずなんです」
「今までの男たちは? どうして続かなかった?」
驚いたがそう質問してきたのは神代さんだった。いつの間にかプロフィールを読んだらしく、折り畳まれて彼の肘の下に避けられている。
それに話に夢中で気づかなかったが、彼との距離がすごく近い。ひとつ席が空いていたはずなのに、神代さん、席を詰めた?
「えっと……付き合ったことはありませんが、お見合いした方たちは話していると疲れると言っていました。どんなところが疲れるのかと聞いても、たくさんありすぎて説明できない、と」
「話の内容は?」
「ごく普通の話ですよ。星や星座の名前を暗記しているので天体観測が趣味だという方にはたくさん披露しましたし、銀行マンの方には経済動向の予測をお話ししました。先方の知識が間違っている場合はその都度指摘したので、お役に立てたと思います。きちんと相手に合わせて話していたつもりなんですが」
必死に伝えきるとマスターは「あちゃー」と額を押さえて苦笑いをする。やはり、私の話にはなにか問題が?