夫婦未満ですが、子作りすることになりました



別れを告げるのは、彼の出張が終わって落ち着いてからにしようと決めていた。彼から【戻ったよ】と連絡がきて、さらに一週間が経った。休日の今日、朝から【いつ会える?】とメッセージがきている。そろそろ、話さなければ。

しかし、覚悟はできたはずなのに、別れを切り出したら二度と零士さんとは会えなくなるのだと思うとつらくてしかたがない。

彼が優しいこと、私を認めてくれたこと、抱いてくれたこと。それは演技かもしれないけど、私にとっては事実だった。

恋する気持ちを最近知ったのに、まさか別れの痛みまでこんなにすぐに知ることになるなんて。心が両側から引っ張られ、ちぎれてしまいそうだ。耐えきれなくて、私は電話をかけた。

『凛子? もう。やっとかけてきた』

「……明日菜」

ずっと報告をせずにいた、明日菜。申し訳なく思いつつも、やはり最後に頼ってしまう。
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