夫婦未満ですが、子作りすることになりました
【凛子の家? 大丈夫だよ。挨拶したいと思ってたし】
零士さんから了承のメッセージが来た。明日菜も到着し、リビングで母と少し話をしたが、零士さんが来ると伝えると隣のダイニングに引っ込んだ。
彼は準備をしてすぐに車を走らせてきてくれたのだろう、それから三十分で我が家に到着した。
「はじめまして、神代零士です。凛子さんとお付き合いさせていただいています」
車から出てきて玄関で一度、出迎えた母に挨拶をしてくれた。彼の爽やかさに母は「まあー!」と黄色い声を上げ、隠れているはずの明日菜もドアの曇りガラスの隙間から興奮気味の目玉が見えている。
リビングに母と私が隣り合い、向かいに零士さんだけが座った。ここで彼は少し怪訝な顔をするが、母はかまわず話を始める。
「私は零士くんのこと一度ね、見たことあるわ。凛子が中学生だったときかしら? 神代製薬を退職前に関わっていた開発プロジェクトが成功して、開かれたパーティーにOGの私も呼んでいただいたの。そこにいらしたでしょう?」
「……はい」
「たしか凛子も連れていったかしらね。覚えてる? 凛子」
「え? 覚えてないなぁ」
どうしたんだろう。零士さんは頬を赤く染めた。