夫婦未満ですが、子作りすることになりました
◇◇◇
十年前。
中学生二年生の私は、母に連れられて慣れないパーティー会場にいた。母はもう退職してかなり経つのに、今ごろになって当時参加していた研究の成果が出たらしく、その開発チームの祝賀パーティーに呼ばれたらしい。
かなり大きな功績だそうだ。母は過去のチームメンバーとともに、社長から直々に賞状を受け取っていた。
すごいなぁ。こうして長い期間かけてひとつの薬が開発されるんだ。おもしろそう。お母さんにはいい刺激になるから一緒に来なさいって無理やり連れてこられたけど、たしかに、興味が出た。
「あら春川さんのお嬢さん? かわいい」
「あ、あ、えと……はい」
しかし、人見知りなため初対面の人たちと会話をするのは本当に苦手で、この空間はあまり楽しいものではない。
「お母さん。もう帰りたい」
「あらこの子はまたどうしてそうなのかしら。ダメよ、まだ終わらないから、暇ならひとりで探検でもしてきてちょうだい」
適当にあしらわれたが、私は助かったとばかりに会場を抜け出し、ホテルの中を歩き回った。