シニアトポスト
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「……ごめんなさい、長々と」
「いいんだよ。君がスッキリするまで話すといいさ」
マスターが珈琲を啜る。未だ冷めない湯気がマスターの顔を隠した。
莉乃のことが羨ましかったこと。
いつだって傍にいてくれる彼女の優しさが本当は苦しかったこと。
初恋の相手は、何も知らなかった莉乃のものになってしまったこと。
莉乃じゃなく私が死んだ方が良かったんだと思っていること。
それなのに、こころのどこかでは、莉乃の死に安堵していること。
ずっと誰にも言えないまま隠してきた最低で醜くてどうしようもない感情を、今の私が表現できる限りの言葉で伝える。私の話を聞いている間、マスターは時折相槌を打ったりしながら、それ以上も以下も口にしなかった。
「どうしてなんだろうなぁ…」
私が同じように珈琲を啜ったのを見て、マスターがぽつりと呟く。マスター自身も過去を振り返っているかのような、弱弱しい声だった。