シニアトポスト



ツー…と頬を伝う雫。
隠してきた感情が全部、この涙に詰まっている。

あたたかい涙は私が生きている印。莉乃がもう2度と流すことのできないそれは、私の目尻から零れ落ち、止まることを知らなかった。



血の気がなくなった肌をして、もう二度と開くことの無い瞼を閉じて眠る彼女を見た時も、私は泣くことが出来なかった。これは夢なんだと信じたかった。


静かに泣き続ける翼くんや両親を見て言葉が出なかったのは、「お前が死ねばよかったんだ」って言われたらどうしようと、怖くて仕方なかったからだ。



私が生きていてごめんなさいと思うと同時に、仮に私が死んだとして、私を思って悲しむ人がいなかったらどうしようと、そんなマイナスなことばかり考えてしまった。



莉乃は莉乃にしかなれなくて、私は私にしかなれないことなんてわかっていたのに。




学生時代、私が友達に悪口を言われていると知った時、莉乃は相手に怒りに行ってくれた。


『双子だからって私と莉央は違うんだよ。莉央のことは莉央としてちゃんと見てよ!』




私が劣等感に押しつぶされそうになって泣いた時。


『莉央は莉央。莉央しか持ってない良さをちゃんと見つけてくれる人が絶対いる。私もそう。双子だからとかじゃなくて、…1人の人間として、莉央のこと大好き』



莉乃はいつだってそうだった。


最初からずっとまっすぐな愛を届けてくれた。
双子の相違点を探すのではなく、私の良いところと悪いところをちゃんとわかろうとしてくれた。



< 56 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop