シニアトポスト
「莉乃…っ、」
莉乃のことを嫌いになったことなんて1度もなかった。感情任せに嫌いと言ったあと、つまらない嘘で心を守ることしか出来なかった自分が醜くて苦しかった。
優しくて、可愛くて、彼女の意思でいつも私のそばに居てくれた彼女の愛を───私は知っていたのに。
もう全部遅い。
今になって気づいても、莉乃にこの気持ちを届けることはできない。私は生きていて、莉乃は死んだ。今度こそ本当の意味で、私と莉乃は棲む世界が違う。
後悔、謝罪、本音。
死んだ人に気持ちが伝えられる方法があればいいのにって、そんな馬鹿気たことさえおもってしまう。
「君は、知っているかい?」
声を殺して泣き続けている私に、マスターの落ち着いた声が掛かった。
「君の後悔を救える方法がひとつだけある」
「…後悔を、救う…?」
とても現実的とは思えないことを言うマスター。涙を拭いながら「どういうことですか…?」と控えめに聞けば、マスターは小さく息を吐いて再び開口した。
「死後の世界に手紙を届けてくれるポストがこの世には───この喫茶店にはあるんだよ」