紅一点


『さて、これからどうするか…
コイツの身柄もなぁ…』

と、私にスッと目線を送り
“残していくべきか…”と
弁護士が呟く。

『コイツは向こうに
連れてかえるよ。淳之介に
すっかり保護者の自覚が
芽生えていたしな。それに…』

“アイツを怒らせる位
面倒な事はないしな…”と、
二人は言いながら、周りの様子を
伺っている。

『重蔵、どうするつもりだ。』

弁護士が問う。

『雅也はここに残ってくれ。
ここ登る体力は無いだろ?
俺は、コイツを連れて、
情報収集序でに、私物の一切を
今回の慰謝料として
回収してくる。』

そういって、私に
先に井戸の上まで登れという。
恐らくここから5〜6m程の
高さはある。
底までは、更に深さがある。

『いや、コレ、落ちたら
死ぬけど?ああなるけど?
命綱的なものはある訳?』

眼下のマネキンを指し言えば

『オマエが殺ったんじゃねーか!』

と、リサイクル屋から
頭をはたかれた。


  
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