紅一点
 

子供の頃、初めて重蔵に

『オマエ、オネエ言葉なんだな。
あっち系なの?

俺は、そういうの
興味ないけど。
オマエが善いヤツだから
どっちだって気にしないぜ。』

って、突っ込まれたときの
衝撃ときたら…

その後、俺の愕然とした表情から、
コレが成り行きだと悟った重蔵と、
どこぞの輸入品映画をみて、
オトコ言葉を勉強したのも
今は昔ってやつだ。

しかし、幼少期に、オンナ達に
チヤホヤ育てられた経験等
簡単に覆らず、余程、
感情を持て余さない限り
俺は、オネエ言葉が常と
なっている次第だ。

多少、コンプレックスだったが
なんだか、他所の世界から
来たハオが、心を開き易いなら
都合がいいかな…って、
思ってる。

「淳之介、通信機
鳴ってるんじゃない?」

カウンターで頬杖をつきながら、
移動端末を触っていた池田屋が、
こちらに視線をおくり言う。

「あら、ホントだ。
…って、誰?」

画面に表示された
“表示圏外”の文字と
繰り返されるコール

…まさか…ハオ…?

思わず小さく息をのんで、
通話承認のボタンを押した。



  
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