紅一点
  


“マジか?繋がった…”

電話の向こうから
オトコの声が聞こえる。

誰だ?電波は悪くない―――

“ああ…淳之介?”

呼ばれた名前に、慌てて
かけてきた該当者に
あたりをつける。

「どちら様?圏外で名前が
表示されないんだけど。」

“…そうか。俺だ、雅也。
いま、あっち側の井戸から
発信してる。こちらは、
もうすぐ夜が明ける。”

なに?雅也、あんた
1日経ったって、
わかってないの?

“重蔵と罪人が、私物を
回収に行ってるんだ。
あと少し待って、
帰って来なかったら…
ああ、帰ってきたな。”

「雅也、ハオもいる?」

雅也の会話をぶった斬る。
まさか、ハオだけ置いてきたり
しないわよね?

“ああ。一緒だよ。
…置いて帰るつもり
していたんだけどな。

アイツのトラブル相手って
結構な犯罪に手を染めてる
ヤツっぽくって。

所詮、ガキの
アイツに太刀打ちなんざ
無理だ。こっちに
1人で置いておけば
数日で消されるよ。”


  
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