紅一点
 


わかりにくい…

わかりにくいのよ。重蔵!!
そんなフォローじゃ!

「俺は!ハオには、
好いたオトコと
…そうなって欲しいんだよ。」

こんな、池田屋に
響くはずもない、
俺の私情のみの台詞を
吐いてしまえば。

なんだか、辛酸を舐めまくった
オトナ達が、甘酸っぱい空気を
醸し出した。

「あのぉ…すっごく
言いにくいんだけど。」

何だか黙りこくった俺達を
見ていたハオが、苦笑しつつ
声を発し、4人の視線が
そちらへ集まる。

「私、処女じゃないんだけど。」

あられもないハオの台詞が
言い終わると同時に、

「お前は、少しは恥らえ!!」

重蔵が、そんな台詞と共に
スリッパを投げつけ、
雅也は啜ったばかりの
お茶を吹き出した。

池田屋は“まぁ…”と
可笑しそうに
クツクツと笑っている。
 
…ムコウの子って
皆、こうなのかしら…

なんだか、とてもショックで
俺は愕然とした。


 
 
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