紅一点
6章 side 淳之介
…お使いに行かせた
だけなのに、ハオったら
いつになったら
帰ってくるわけ?
「…禿の方が、
上手にお使いが、できるんじゃ
ないのかしら。」
腰に巻いたサロンエプロンを
解きながら、苦笑する。
あの子が、うちの子に
なってから、生活にハリが出た。
心配することすら
気持ちが高揚する。
行燈をしまって
ハオを迎えに、色町を歩けば、
日暮れた街には、虹色で彩る
球体の行燈が浮かび、
それはそれは、幻想的で
非日常的な雰囲気を
醸し出している。
…それにしても…
ハオを迎えに行く先が
遊郭とは…
なんとも言えない。
まぁ、俺の場合、実家も
遊郭なんだが…
しかも、よくよく
考えれば、あの太夫は
俺の面倒もよくみてくれた
人であり…って…
…アレ…?
太夫と俺って、
…年近かったか?
あれっ?昔から太夫って
あのままじゃないか…?
え…?っと…?