紅一点
 

「わかってるよ。藤姫。
今日は、よろしくね。」

今回が最初で最後の
機会であることは
重々承知だ。
私を以ってしても
力技による勝算は、
今後低くなるだろう。

『はい。ハオ様。
私が彼らの全財産を
集金するのと、ハオ様が
肉弾戦で奴らを仕留めるのは
同時進行。どうぞ
お怪我などなさらぬ様に。』

だって、奴らに
パワーと俊敏性で
対抗できるのは
最近コチラに来たての
私を除いていないのだ。

太夫や他の遊女は
心身共にこの空間に既に
順応しきっている。

この作戦は、最後は
筋肉が左右する。

そもそも、奴らにリベンジを
かましてやりたいと
意志を表明したのは
他の誰でもない私だし。

そんなこんなで、
とにかく気合が
みなぎっているのだ。

「あら、ハオ。
ここにいたのね。
頼まれていたお直し
間に合ったわよ。
藤姫も、こんにちは。」

『淳之介様、こんにちは。
本日も艶やかな
お召し物ですね。』

そういって藤姫は
私に着付けをする
淳之介を珍しそうに
みている。

『これは珍しいですね。
着物の後ろに深いスリットが
入っていて動きやすそうです。』

ふふん、そうだろう。
特攻服を模倣してるのだ。


 
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