紅一点
 

…やはや、着慣れた服がいいと
キャバドレスでキセルを咥える
太夫がデザインしてくれた。

「ハオ、よく似合うじゃない。
…その中の中学校指定の
体操服、この際、
目を瞑りましょうか。」

…胸元のゼッケンが
輝いているが
動きやすいことが一番だ。
そして、この
似非トレンチコートなら
足捌きも容易かろう。

早速バックキックを
エアーで嗜む。

うん!いい!

この空間の入口付近が
騒がしくなってきた。
そろそろ、三次元の
女郎さんたちも
お越しのようだ。

「ごきげんよう。
さて、もう、みんな
揃ってる様ね?」

そういって
ひときは輝きを放つ
池田屋さんが
顔をのぞかせる。

今日、この電脳カジノへ
ターゲットを連れてくるのは
池田屋さんと社長カップルだ。

雅也と重蔵も
美しいオネエサマ方を
引き連れて同行している。
…相当遊び慣れているのか
様になってるというか…
違和感がなさすぎる。

「あれ?淳之介は?
あっちにいかないの?」

いつも幼馴染3人で
連んでいる印象が強く
そうたずねれば、ニヒルな
笑みを浮かべて見せた。

「アタシはアンタと
肉弾戦の担当よ。」

「え…? 淳之介、
殴り合いは痛いからヤダって
言ってなかった?」

 
 
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